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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 


「大丈夫ですか、鹿沼さん?」


 課長が、ぼぅっと結城のことを考えていたあたしの顔を覗き込んだ。


「眠いでしょう、寝てきて下さい」


 眼鏡のレンズ越し、切れ長の目が優しく細められ、微笑まれた。

 彼にはなにげないだろう仕草ひとつひとつに、どきっとする。

 寝不足の疲れなのか、無性に彼に抱きついてその匂いを嗅ぎながら、彼の唇を貪りたい気がする。強く絡み合い、彼を感じながら……課長のことだけを考えて眠りたい気がする。

 ああ、あたしこそが、現実逃避だ。


「はい、大丈夫です」


 しっかりしろ、あたし。

 やるべきことが山ほどある。




 ***


 午前七時――。

 駆けつけた医者によれば、峠はもう越しているから、急激に容態が悪化して命に関わることはないらしいけれど、血液内の数値がまだ安定していないのと、やはりがんの状態が悪いから、炎症が完全に治まるまで点滴を続けて入院していた方がいいとのこと。直前まで、普通にしていたのがおかしな状態らしい。

 社長はまだ自力で身体を起こすことは出来ないが、それでも入院が嫌だと駄々をこねる社長に、皆が頭を縦に振らない。


「怖い……」

 泣き真似するほど、元気は出たのか。いつもほどの活力はなく気怠そうだけれど、それでも一時期の土色の顔色を思えば、頬に赤みが差していて嬉しい。

 
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