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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

「私の会社は、ムーンから拡大したシークレットムーンだけ。月代社長の名前が入っている、その名前しか認めない」
「ふうん? 愛社精神って奴ですか? それとも社長ラブで?」
カッとして上げた衣里の手を結城が掴んだ。
「離せ、この筋肉馬鹿!」
結城は千絵ちゃんを睨み付けながら、衣里の手を離さなかった。
「それが嫌なら、二週間くらいで取引先を100くらい増やさないと駄目ですよぅ? 短期間で100も取れればきっと忍月が会社を手放せなくなって、向島も諦めるしかない。そう思いませんか、宮坂専務」
千絵ちゃんの先には、椅子に座ってじっとこちらを見ていた専務に向けられた。
「ほう、俺のことをご存知か、新米向島令嬢」
「ふふ、さすがは兄の元親友。はじめまして、兄がお世話になってます。あのビルの食堂を利用してたから、専務のことは実は前から知ってました」
専務は向島……向島専務と友達だったのか。
「そりゃどうも」
「私、香月課長が欲しいんです」
千絵ちゃんは突然に課長に矛先を向け、周りを見渡して言った。
「課長をくれた方には、相応のご褒美あげたいと思います。私、お金だけはあるから。勿論、課長自らでも構いませんよぅ?」
課長は怖い顔で千絵ちゃんを見つめ、そしてなんと頭を下げたのだ。
「心しておきます」
「ふふ。頭いい課長大好きです。来てくれるの、待ってます。じゃあ、せいぜい悲劇の仲間ごっこして頑張って下さいね~、耐えられなくなったら、向島でも私でも、お電話1本でよろしいんで」
千絵ちゃんは上機嫌で、スカートをふわふわさせて出ていく。
ドアが閉まる音。

