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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 


「あれ、木島くんも? 今日は休養日だって言ったわよね?」

「休養するなら会社に居た方が落ち着くっす。やらなきゃならないことは一杯っすから。あ、だけどそう考えたのは俺や主任だけじゃなかったみたいっすよ」

「え?」

 ……木島くん、ガタイがいいのはよくわかったから、アスリートみたいなその伸縮性に優れているんだろう銀色のシャツを素肌に着るのはやめようよ。乳首が尖っているのがわかるよ、なんで尖らせてるんだよ、目のやり場に困るじゃないか。

 元チクビー部木島と呼ばれたいのか!?

「鹿沼、来たのか」

 木島くんの卑猥シャツに目を泳がせていたら、木島くんの後ろから、普通の黒いストライプのTシャツを着た結城が喜んだ顔でこちらに来た。よかった、奴までそんな服着ていたら、あたし帰ったところだ。

「もち。なんだ結城も来るんなら連絡頂戴よ」

「お前を寝かせてやろうと思って、連絡しなかったんだわ、すまんすまん」

「木島くんと結城が居るんだったら、なんか食べ物作ってもってくればよかった」

「まだ居るぞ?」

「え?」

 仕切りで覆われたミーティングルームが騒がしい。

 覗いて見れば、そこには昨日病室で別れた社員が集まっていたのだ。

「なに、集合かけたの?」

「いや、皆が自発的に来たんだよ。会社の危機に、休んでいられるかって。取り急ぎWEBでの作業が急ぎでない奴は、香月が作ったタブレットを持って明日から営業に行く。営業が苦手だというやつは、営業ひとりつけて」

 感動した。

 なにそれ、なにそれ!!

「結城……、なんか凄いよ。皆凄いっ!! ここまで一致団結したなんて、千絵ちゃんに感謝しなきゃ駄目じゃない」

「結果的にはな」

 あたしはきゃっきゃとはしゃいでみんなに声をかけた。

「主任ですか!?」

「うわ、やっぱり雰囲気変わる」

「なんですかそのエレガントさ!」

「髪下ろすとそんな感じなんですね」

「主任はそっち系でよかった」

「本当によかった」


「結城。髪下ろしてスーツじゃないとあたし雰囲気変わるの?」

「上目遣いをして俺に聞くなよ、……ああくそっ」


 結城が頭をがしがし掻きながら、輪の中に戻った。
 
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