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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

結城がミーティングルームの楕円形の机に両手を置いて立ち、身を乗り出しながら言う。
「目標は100じゃなく、200だ。今社員は全部で20人弱。ノルマは営業はひとり8件、それ以外はひとり5件。営業進捗情報はタブレットの顧客情報を見ること。契約を取ったら、仕事も忙しくなる。香月と鹿沼も忙しくてあてにできなくなっても、営業かけもつWEB大丈夫か!?」
「大丈夫っす! あのタブレットがあれば好みがわかるから、分担作業にすぐ入れますから! 俺達、団結してますから。な!?」
木島くんと、他残った四人のWEB部所属の子達は力強く頷いた。いつものようにマニュアルがないと動けなかったぼんやりとした目つきではない。そこにははっきりとした意志が見える。
そうまで決意させたのは、千絵ちゃんのおかげか木島くんのとりまとめのおかげか。
「よし、じゃあWEB。皆でまた木島の胸を触ってやれ」
「は、はあ!? もう要りませんから、結城課長、結城……ふぁん」
……結城か! 木島くんの胸を興奮させたのは!
しかし、こんなところで感じて変な声出すな、チクビー木島!
笑い声が溢れるのは、結城がアホなことで木島くんを弄っているからか。
課長のタブレットは、複数の人数の分担作業に向けている。
誰が説明しなくても、一目瞭然でなにをすべきかわかる。つまりあたしの仕事がなくなったわけだけれど、あたしは指揮以外の仕事を出来るようになったわけだ。たとえば社長に言われたところの営業など。
あの後社長から、課長と結城が呼ばれて説明を受けた。
結城はN県ということで渋っていた。
――俺がついてっちゃ駄目か?
――お前LINUXも使えないのに、プログラムのことを聞かれて答えられるか? 向こうはかなりマニアックなことを聞いてくる。俺が忍月の現役の頃でも、かなり手強かった相手だ。忍月の副社長でも納得しないで、社長が赴いて一ヶ月通わせた。その上で専門的な知識を試しに俺が呼ばれた。睦月の話術程度で、どうにかなる相手じゃないぞ。

