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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

――社長が出ないといけねぇ相手で、香月と鹿沼で大丈夫かよ。
――託すしかない。猶予期間を出来るだけ抑えるのなら、香月の知識が向こうを抑えられるかにかかっている。それでも駄目なら、俺が行く。
――そんな身体で、また倒れたらどうすんだよ。
――その時のことはちゃんと考えてあるから大丈夫。うちの未来のためには、どうしても顧客にしておきたいところだ。
――しかし、N県かぁ……。
――まあそこは反対方向だし、ふたりは日帰りだ。鹿沼もひとりじゃないし、おかしなことにはならんだろう。
社長の説得で結城は了承した。
今はとにかく営業をかけて顧客数を伸ばさないといけないのだ。それでなくとも貴重に課長をあたしとの営業に遣ってしまうことが忍びないが、病み上がりの社長の手を煩わせて課長と行くからは、どんなことをしても契約してくるつもりだ。
席に着いたら、隣の課長の席に背広が置かれてある。
課長も来ている?
「やだ、靴……」
いないと思ったからはいてきた靴を、誤解されちゃう。
そう思っていた時、サーバー室から課長が出てきて、中から――。
「誰!?」
ストレートの長い髪をした、目鼻立ちの大きい華やかな美人が現れた。
大きな胸ときゅっと絞られた腰を強調するような……ピンクのニット地の太股も露わの扇情的なミニ丈のワンピースと黒い長ブーツ姿で現れ、課長の腕を引いて、再び中に連れ込んだのだ。
なんで皆あんなのを入れたの?
うちの社員じゃないじゃない。なんで放置してるのよ。
課長が、あの肉食美女に食べられちゃう!!
あたしは慌てて走ってサーバー室に入り、
「あなた誰よ、課長をどうする気!? 課長は渡さないっ!」
ワイシャツ姿の課長をぎゅっと抱きしめながら、怒鳴った。
すると――。
「あ~鹿沼ちゃん。ち~す」
聞き慣れた舌っ足らずな声で喋り、愛くるしい笑顔を見せる美女がするそのポーズは。
「え……まさか、杏奈?」

