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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

「へ!? うっわー、杏奈失態。さすがだ、香月ちゃん。よかった、見て貰って」
課長、いつプログラム見てたのよ。課長のお顔、そっち向いてなかったじゃないか。課長のお顔は――。
「はぁぁぁ、年かなあ……って、鹿沼ちゃん大丈夫!? 凄く顔が真っ赤だけど、お熱でも出た?」
平然といつもの通り涼しい顔で対応出来る課長とは違い、あたしは……うなじからじんじんと広がる熱が顔に移り、顔から火が出てきそうだ。
あたし、営業モードが通用しない、そういうの慣れてないんだってば!
「う、ううん、熱じゃなくてこのサーバー室暑いから! ちょっと冷たいジュース買ってきてあっちの様子見てきます。じゃ、課長杏奈。また!」
課長の手の甲をきゅっと指で抓って、無理矢理手を外してサーバー室を出て行った。
「ねぇ、香月ちゃん。暑いって……、ここ、機材冷やすために冷房がんがん入れてるから、寒いくらいだよね」
「くくく……」
不思議そうにクーラーを見上げる杏奈と、口元に緩く握った手をあてて声を押し殺しながら、愉快そうに笑う課長の姿を知らずして。
「くっそ~、からかいやがって~」
なにあの余裕。あたしのお口で果てたこと、忘れちゃったのかしら!
あたしにあんなことして、あたしもあんなことしたのに。

