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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

「――くぅぅぅ~」
思い出して余計発熱して、真っ赤な顔になってしまったあたしは、必死に手でパタパタ仰ぎながら、休憩室の自販機に向かった。
課長の動きひとつでこんなに余裕をなくすあたしは、出張にちゃんと行けるのだろうか不安になる。
それじゃなくてもあたしにとっては鬼門となる地元だ。
実家に寄りたいとも思えないそんな場所からは、かなり遠いところが打ち合わせをするところでよかったと思う。
明日、社長の電話で相手先が了解したら、あたしは課長と新幹線に乗り、タクシーを使って少し山を登ったところにある、温泉街の一角に行くことになる。
N県で比較的最近温泉がわき出たという、真新しい領域の一角にある大きなホテルに、社長が言う――全国の温泉街に点在する「やじまホテル」の元締めである代表取締役の矢島司さんは、今ホテル指導でいるという。
もしも契約がとれれば全国のやじまホテルだけではなく、アパレル業界ににも力を持つ矢島グループのシステム管理が出来ることになる。
さらにうまく行けば、どこか紹介して貰えるかもしれない。
かなり大手のホテル経営者であるその代取が、どうかあたし達に会って欲しいと、祈るような心地で、冷たい缶コーヒーで頬を冷やした。

