この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

 バッグから名刺入れを取り出して、一枚を手にした。

「初めまして。私……」

「ああ、わかってる。名刺はいらん、月代さんの部下だろ。こちらの連絡先も月代さんに聞けばいい。月代さんもこんなぺーぺーを寄越して」

 じろりと名刺を一瞥して、あたしの主任の肩書きが気に入らなかったのか、名刺を出しているのに受け取ってもらえない。

 飛び込み営業でもあるまいし、こうした扱いをされるとは予想していなかった。

 え、受け取って貰えなかったら、どうするんだっけ。


 パニックになったあたしの横にすっと課長が出た。

「私鹿沼の上司にあたり、シークレットムーンWEB部課長の香月と申します。鹿沼と共に、月代の代理として参りました」

 微笑みながら名刺を出すと、矢島社長は胡乱げな目で課長を見つめたが、差し出された課長の名刺をじっくりと見て、少し考え込む素振りを見せると、課長の名刺だけ受け取った。

 課長のだけ!

 だが受け取ったら、彼はひとつの名前を呼んだ。

「おい!」

 すると、どうやらこの部屋の仕切り戸の向こう側にいたらしい、ここまで案内してくれた女従業員が、お茶をお盆に乗せてやってきた。


「これ、やる」

「承知しました」


 従業員は名刺を手に取りお盆に乗せると、社長に促されてソファに座ったあたし達にお茶を出してくれた。

 社会人の心得ひとつ。

 名刺を頂いたら、名刺入れの上か自分の近くの机の上に、貰った名刺を置きましょう。目の前で部下に渡してしまうのは、論外です。

 あたし達は、屈辱的にも先方の名刺を貰えないらしい。

 しかも、向かい側に座った社長は、話し出すあたしを見ない。あの従業員にパイプ椅子を持ってこさせて立ち会わせ、ふんぞり返ったまま課長を見ている。

 確かにあたしは主任とは名ばかりのペーペーで、課長のような華々しい学歴も職歴もありませんけれど!

 だけど、そんなところで判断しないでよ!
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ