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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

あたしが裸になるか、課長が社長のサンダルを舐めるか。
そんなの、ハナから答えは決まっている。
「わかりました。私が裸になることでよろしいですね?」
あたしはくじけず、まっすぐと社長を見た。
「あたしの貧弱な裸くらいでお話を聞いて考えて下さるのなら……」
あたしは立ち上がり、背広を脱いでブラウスのボタンに手をかけた。手が震える。脳裏に小林商事の副社長とのことが蘇る。
女には、これしか手段がないのだろうか。
課長の前でこんなこと嫌だけど、だけど契約のためなら――。
「やめなさい」
そんなあたしを、命令口調で止めたのは、
「服を戻して座れ」
俯くようにして膝に手を置いたまま、こちらを振り向きもしない課長だった。
「でも……」
「あなたは月代社長の顔に泥を塗る気か! そんなことをさせるために社長があなたを寄越したと思うのか!」
それでも。それでも――。
課長が顔を上げた。
「彼女が裸になるのを、あなたならお許しになりますか」
ゆっくりゆっくりと、
「同じ女として、あなたは許容出来るんですか? 矢島社長」
目の前のブルドッグではなく、女従業員を見た。
怒りを称えた射るような鋭い目で。

