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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 


 斎藤製作所も喜ぶ。

 あたし達の収入は、従業員用のシステムと無線のネットワーク構築だ。うまくいけば、システムまで入れて貰えることになる。まずはとっかかりが必要なのだ。


「わかったわ。あなた達を信用する。……発注します、見積もりは後でいいから進めてくれる? あなた達なら、無駄に高くしようなんて思わない気がするから。あなた達の良心に沿って、見積もって頂戴」


「「ありがとうございます!!」」

 あたしと課長は立ち上がって、頭を下げた。


 ***


――ねぇ、鹿沼さん……、香月さんとおつきあいしてるの?


 社長室から出る際、あたしを呼び止めて社長が耳に囁いた。

 慌てて否定すると、社長は笑う。


――そう? だけど、沼田に言われて裸になろうとしたあなたも、土下座をして靴を舐めようとした課長さんも、お互いが大切でたまらない……そんな風に見えたから。

――オフィスラブしていいのなら、くっつけばとてもいいカップルになると思うわ。私、凄く応援しちゃうわ!


「……大丈夫ですか、鹿沼さん。なにか社長に困ったことでも言われたのですか?」

「い、いいえ! 社長は気に入って下さったと仰られただけで……。お、お暇(いとま)しましょう!」


――お互いが大切でたまらない……そうんな風に見えたから。

「……。手と足、同じ側が出てますよ?」

「え、え?」

――お互いが大切でたまらない……そうんな風に見えたから。

「か、課長!」

「はい?」

「守って下さってありがとうございました!」

「………」

「それなのに、課長に土下座させてしまってごめんなさい!」

 頭を下げると、課長があたしの顔を両手で挟んで、課長の目の高さに合わせた。

「あなたが私を守ろうとしたからです。会社のことがあってもなくても、あなたは私を庇おうとして、迷わず服を脱ごうとした。だから私は、平気だったんです」

「平気のわけ、ないっ」

「平気です。あなたが裸になる方が平気じゃない」

「……っ」

 課長はふっと笑ってあたしに言った。


「服を脱ぐなら、俺の前だけにして」


「……課長――っ!!」

「あはははは」
 
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