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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

 ***


 午後五時になっても土砂降りはやまず、雷鳴と轟音が交互に耳を襲う。新幹線が動く兆しは、それから一時間経ってもまったく見られなかった。

 さらに悪いことに、ここまであがってきた山道が土砂崩れを起こしたらしく、どうしたって帰れそうにない。

 やじまホテルは、ホテルまできた交通手段を問うことなく、帰れなくなった日帰り客のために無料で休憩部屋の個室を貸し出した。宿泊する部屋からはグレードランクは落ちてしまうようだが、ここはすべてにおいて贅をこらした高級旅館だ。休憩部屋であろうとも、宿泊には十分なものらしい。

 今日は元々天候が悪かった平日ということもあり、休憩部屋の解放だけですんだようだ。無論、宿泊棟がいいのであれば半額で貸し出すことにしたようだ。

 社長自らが言い出したらしいその心意気を天晴れと思いつつも、結局どうしたって帰ることの出来ないあたし達も、仕事をお願いした身でありながらお世話になる羽目になるとは、本当に恥ずかしくてたまらない。

 日帰り客休憩用大広間――。

 忙しそうだったから、あたし達の案内は社長に言って最後にして貰った。
 
 ここで足止め食らって帰れないのは確実だから、スマホとパソコンタブレットという文明の機器を使って、進捗情報をうちの会社に伝え、そして斎藤製作所に本格的な発注をかける。頑張っていいもの作ってくれれば、355のホテルが追従するかもしれないよ、と言ったら俄然やる気を出した。

 製作所は結構大きいところで、現役で活躍できる年齢を過ぎた、大手企業に貢献したベテランのプロが勢揃いしていて、作業所も設備がしっかりしていれば、リサイクルだから資材を大量に安く仕入れるコネもある。

 今は閑散期に入ってしまったらしく、20人の従業員がフルに菱形タブレットの制作に取りかかれるようだ。

 見積もりをあたし宛にFAXかメールを頼んだら、すぐきた。タブレットからは、FAXも見れるのだ。

 課長とそれを覗き込んで、大体の試算をしてみたら、うん大丈夫いける。納期も一ヶ月とは言ったけれど、一ヶ月を切って作って貰えるかもしれない。

 よしよし、こっちは大丈夫だ。では会社にと電話をして、電話に出たチクビー木島から衣里、そして結城に代わった。

 三人に大体同じことを話す。打ち合わせはどうなったのか、そして今どういう状況なのか。
 
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