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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

「……ぷ」
「笑い事じゃ!」
「ぶははははは!」
「笑うなって!!」
「いや、その……お風呂行きましょう、お風呂!」
どう反応していいかわからないじゃない。
そうやって避妊具を使うようなことを想像して、意識してくれていたというのなら。
ふたりのお泊まりを意識していたのは、あたしだけじゃなかったんだと思うと、なにか顔がにやけてきてしまうから。
「あたし、課長が約束したことを反故にして暴挙に及ぶ野蛮な男だとは思ってませんから。だから大丈夫です! こんなに広ければお布団離せばいいだけだし!」
「……っ」
矢島社長の声がふと思い出される。
――オフィスラブしていいのなら、くっつけばとてもいいカップルになると思うわ。私、凄く応援しちゃうわ!
……でももしかすると、課長と過ごせる最後の夜になるかもしれない。
明日、あたしは満月のことを言うから。
「じゃあお風呂行ってきます!」
楽しければいいなあ、プライベートで過ごす今夜は。
課長に嫌われてブルームーンを過ごせなくなっても、あたしが課長がいなくても生きていけるくらいの思い出を……ねぇ、下さい。
最後に一度だけ、あなたに抱かれたいと……、思うんです――。
「……言わなきゃよかった。あんなに笑顔で先に拒まれたら……最後までじゃなくても、なにも出来ないじゃないか。これほど俺の誕生日が待ち遠しい時はなかった気がする。早く誕生日来いよ……。俺の理性が崩れる前に」
出た部屋の向こうで、課長が嘆いているとは知らずに。

