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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

***
展望台室――。
扉をあけてすぐのパネルスイッチを押すと、暗闇だった部屋に常夜灯なみの仄暗い明るさが灯る。
この暗さなのは、正面に広がって見える二重窓に映る夜景を綺麗に見せるためなのだろう。今は真っ暗闇と化した景色を映す窓は、これ以上の煌々とした明るさならば鏡となり、室内ばかりを映し出して、外を展望することは適わないと思う。
十畳くらいの広さの部屋が横長に広がり、背もたれがついた三人掛け用の黒いソファが部屋の左右と正面真ん中に、三つ安置されている。
窓を叩きつける暴風雨と、どこかで落ちた雷鳴がする中、課長はあたしを両腕に抱いたまま、正面の長いすに座った。
そしてあたしの体勢を起こすようにして、彼の膝の上に跨がらせて、正面を向ける。あたしが彼を見下ろす位置にある。
「……」
「……」
薄暗い明るさが、あたしを夢と現(うつつ)の狭間で彷徨わせる。
激しい嵐の音を聞きながら、静謐にも思えるふたりだけの室内で、視線だけを静かに絡ませたまま、やがて課長の両手があたしの手のひらを掴み、指を絡ませた。
指なのに、この触り方にぞくぞくする。思わず目を細めたあたしをじっと見ながら、課長の手がずれて動き手首を掴むと、そのまま袖の中の手をゆっくり滑るようにして上に上がっていく。
大きな熱い手のひらでの、腕の愛撫。
浴衣の生地があるのとないのとでは、こんなに感じ方が違う。
「は……ぁ……」
上にいくにつれて喘ぐあたしを見た課長の顔が嬉しそうに綻ぶと、あたしの背に両手を回し、ぎゅっと抱きしめてくる。
パチン。
ブラのホックが外れる音をたてて、胸の窮屈さがなくなった。

