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いじっぱりなシークレットムーン
第3章 Full Moon
9年前に関係した時からあたしはきっと、逆ナンして男を食い物にしているビッチと思われているのだろう。
だから――。
――"また"君からか!
昨日ちょっと怪しい雰囲気になっちゃったのも恐らく、あたしが誘惑したと、自分はあくまで被害者だと思っているから、
――――……まったく寝ていないので。
ああやってあたしを詰ったのだろう。
なんで睡眠不足まであたしのせいなのかはわからないけれど。
身から出た錆だとおもうけれど、あからさまにそんな女だと思われているのがショックだったりする。
月に1回、年限定12回に顔を見せる満月のおかげで、満月以外の年353日もきっと、あたしのプライベートは乱れきっていると思われているのだろう。
――男からモテて当然の女性なら、例外かもしれませんよ。
いくら鉄腕OLとはいえ、明瞭すぎる悪意を向けられて平然と出来るほど、面の皮は厚くないつもりだ。
あんな風に涼やかな表情で、自分の腹を読ませないような鉄仮面はかぶれない。あの仮面の下は、嫌悪感に凄いことになっているんだろうな……。
ああ、毎日上司部下できちんとやっていくには、やっぱり話し合いが必要なのかな……。
「主任、やっぱりどっか具合悪いんですか!?」
木島くんの焦ったような声で、あたしは木島くんや課長のいない後ろの壁を見てため息をついていたことに気づいた。
「あ、いや具合悪くない! ごめんごめん、なんだっけ?」
「主任……」
愛想笑いで木島くんを見ると、向かい側から突き刺すような冷たい視線。
怒りと言うより侮蔑のような。
残業という大きいミッションに備えて、無駄に体力を消耗させないために、この視線は受け止めずにおきます……。