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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

「どうして……そんなことを言うのかな」


 朱羽の顔が赤い。


「どうして、俺の理性を壊しにかかってくるかな」

「……壊れて、いいよ?」


 朱羽があたしの唇を強引に奪った。


「そんなこと、俺以外に言うなよ?」

「……うん」

「……結城さんにこんなこと……」

「言ったことない。朱羽が初めて」


 すると朱羽は顔を嬉しそうに綻ばせた。


「俺が初めての男なんだね?」


 その優しげで柔らかな顔に、切ないくらいに胸が苦しくなる。


「だったら、初めてを貰うよ、陽菜」


 空気に晒されていた秘部に、熱いものが押し当てられ、それが動いた。


「ん……」

「はぁぁん」


 喉をそり返させる朱羽とあたしは同時に、悩ましい声を出した。


「金曜日こそは、抱くからね。あなたと……もっと奥でひとつになる」


 朱羽は美しい微笑み、あたしの髪束を手で掬って口づけた。


「だから、結城さんではなく、俺を選べよ? ……待っているから」


 悲しくなるくらい切迫したような顔で、朱羽は自分の分身を滑らせる。

「ぁぁ……」


 朱羽のと擦り合っていると思えば、それだけで涙が出そう。

 朱羽は腕立てをするようにして、あたしにキスをしているばかりで、決して擦れ合っている粘膜同士を見せようとはしなかったけれど、あたしがお願いした。


「朱羽……見たい」

「え?」

 色っぽい吐息混じりに、朱羽は驚いた顔をする。


「朱羽があたしので悦んでいるのを見せて。今夜のこと、記憶に刻みたいっ」

 朱羽の表情が訝しげなものに変わっていく。


「……陽菜、思っていたけど、なんで今夜はそんなに……大胆とか自棄とかいうより……刹那的なの? なにを考えてる」


 朱羽が動きを止めたから、あたしが動く。


「ねぇ、陽菜――」


 ああ、固い先端がごりごりと花芯を抉っていく。

 気持ちいい……。


「俺、金曜日ふられるの?」


 苛立ったような顔が向けられ、あたしは下から飛びつくようにしてキスをした。


「きっとあなたがあたしを嫌う」


 あたしの腰が揺れる。

 あたしは快楽に溺れたふりをしながら、目尻から涙を零す。

 今は嫌なことを忘れて、朱羽がくれる快楽に身を委ねたい――。
 
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