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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

静かな声が聞こえた。
「――だったら、俺を信じて。怖がらないで。おしまいになるなんて考えずに」
「……っ」
「俺はあなたを知りたい。だから教えて、あなたの秘密を」
唇が震え、涙が溢れてくる。
「でも、嫌われる、からっ!」
「嫌わないよ、約束する」
あたしの手を取り、手のひらに口づけてくる。
「それでも」
「俺は約束を守り通したい男だ。約束を破るくらいなら、もうとうにあなたを抱いてる。あなたを目の前に、最後まで抱きたいのを必死に我慢していた俺を信じて」
「……でもっ。約束だからって、仕方がないって同情されてわかられるのも嫌だっ!」
怖い。
過去のことを思い出せば、手のひらを返すように冷たくされることが。
結城が希有で、特別だ。朱羽が結城側だという確信が全くもてないのだ。
朱羽がいなくなったら怖い。
だけど隠し続けるのも辛い。
「……もし、少しでもあなたを嫌ったら、俺を殺せよ」
「……っ」
朱羽はあたしの手を、自分の左胸にあてた。
「俺の心からあなたが居なくなるくらいなら、俺を殺して」
あたしの心臓に杭が打ち込まれたかのような、重くて強い衝撃を感じて息が詰まる。
「教えてよ、あなたに近づかせてよ。あなたがそんなに苦しむ重いものを、俺にも抱えさせてよ。結城さんだけではなく、俺にも心を開いてよ」
「……っ」
「俺を信じて欲しい。お願いだから」
悲しく思うくらいに真摯な顔に、あたしは重い口を開く――。
信じてみよう。
朱羽があたしを嫌わないことを。
「満月にっ!」
声が震える。自分から言うのは、結城に言った以来だ。
「うん?」
「満月に、あた、あたしは……狂うの!」
不安と恐れが混ぜ合った胸の内を反映しているかのように、言葉の波が乱れる。
「狂う?」
「そう、セ……セックスがしたくて仕方がなくなるの! 病的な色狂いっていう感じに」

