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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

「……あの時はごめんなさい。そう、歓迎会は満月の日で、理性と性欲の狭間にいたのを、結城に連れ出して……貰ったの。そうじゃないと、皆に襲いかかったはずだから」

「そっか……」

 なにを考えているの?

 面倒臭い、重い女だと、呆れてる?

「……もしかして、九年前も?」

 痛いところを突かれてしまう。

「あの時も、満月だったように思う」

「……そう。発作で苦しんでいる時、あなたは声をかけてくれた。あなたが拒絶したら、あたしはあの公園のホームレスに抱かれに行ったと思う」

「……元から、一夜限り、だったのか」

「……ごめん」

 罪悪感に胸が痛い。

 彼のハジメテを、あたしが奪ったのだから。

 チサが好きな彼を、初対面のあたしが抱いてしまったのだから。

「そっか……。そんな事情があったのか。あなたに……――れていると、勝手に勘違いして、俺は……」

「え?」

「なんでもない」

 ややしばらくして、彼は言った。

「でも金曜日……、結城さんといるかもしれないという意味は? 満月は歓迎会だったのに、あなたはまた結城さんに抱かれようしてる。結城さんとは、満月以外にも関係があるんじゃないか」

 拗ねたような声が聞こえる。

「……この八年、結城との関係は満月限定のものよ。……金曜日、ブルームーンといって、一ヶ月に二回来る稀な満月の日なの」

「また満月が来るの?」

「うん。疑うなら、調べてよ。ネットでもそう書いてあるから。あたしはそれを知らずに二週間後と約束してしまったけど、後でブルームーンだということがわかった。だから……罵倒されてきたあたしの姿を、あなたには見せたくなくて。だけど……結城の気持ちも聞いてしまった以上、あたしは結城にも頼れないから……だからひとりで……っ」

「陽菜」

 涙声になったあたし。朱羽はそこでようやく、あたしの身体を回すようにして、真っ正面からあたしを見た。


 そこにあるのは――


「俺がいるだろう? ひとりじゃない」


 変わらぬ優しい瞳。
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