この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

「ブランクあるけど、最初の俺のでもよかったのなら、それから100回したら、あなたは満月じゃなくても、狂うと思うよ? いや、狂わせる!」

「断言しなくてもいいから! 今でもう十分だから!」

「いや駄目だ。最後までしてないじゃないか。陽菜も可哀想に。1ヶ月のうち1回だけ狂ってればよかったのに、俺と居たら残り30日も狂う羽目になるなんて」

 にやりと、どこか超然とした自信を纏って、彼は笑う。

「ちょっ、やめてよ、それ本気にやめてよ!?」

「あはははは」


 あたしの手首を朱羽はがしっと掴む。 


「陽菜」


 一直線状の強い眼差しを向けて。


「話を聞いても、俺はなにひとつあなたを嫌う要素が見つからない」

「……っ」

「ブルームーン、俺と過ごそう」

「しゅ、う……」

「ブルームーンだけじゃない、その後の満月も。勿論満月以外も。……あなたの隣で、俺を眠らせて」

 泣けてくる。
 
「本当のことを言うと、九年前のあなたは狂うまではなくてももっと貪欲だったから、今は昔のように求められないのが悔しくて、色々してしまったんだ。……ごめん」

「そんな、謝ること……」

「ただね、陽菜。あなたは満月に苦しんでいる。過去のトラウマからあなたは逃げ出したつもりでも、完全に囚われている。満月に原因があるのなら、俺はそれを解決してやりたい」

「……解決?」

 そんなこと、あたしは思ったことがなかった。

「明日、朝早く出て……あなたの実家に行こう」

「え……」

「あなたの話では、あなたを苦しめたのは彼氏と友達と言っていた。だけど家族の話が出てこない」

「家族……」

「普通、親ならあなたが心配で電話のひとつくらい入れる。九年以上も放置とはありえない」

「……っ」

「行ってみよう。あなたはきっと、なにかを忘れようとしている。結城さんの言葉も、真実がわかるかもしれない」

「………」

 あたしの記憶に、間違ったことがあるというのか。

 間違っていたなら、結城の言うことは正しいのか。

 
 ……踏み出そう。


「なにが出てきても……朱羽は傍にいてくれる?」


 今なら、踏み出せる。


「勿論」


 朱羽が嫌わないで、満月のあたしを受け止めようとしてくれるのなら。

 満月が導いた……その奇跡に初めて感謝して。

/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ