この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon

「行く」
今まで踏み込んだことのなかった実家へ。
満月と闘ってみようか。
そう、素直に思える力を、朱羽から貰ったから。
「ありがとう……。聞いてくれて、嫌わないでくれて……本当にありがとう」
「俺は、あなたを嫌っていなくならないって、信じられる?」
「……うん」
「すっきりした顔をしている。……さっきよりも可愛い」
「……っ」
どうしてこのひとは、さらっと……。
「それでさ……」
ちょっと照れたように朱羽は言う。
「俺に嫌われたくない、惹かれているって……愛の告白みたいなものと、そう、受け取っていい?」
「……っ」
「前は、俺のことは好きじゃないってはっきり言われたけど、それは変わってきてるって、信じていい?」
不安そうな顔に、あたしは頷いた。
あたしは彼が好きだと、素直にそう思うから。
開こうとしたあたしの口を、手で押さえた朱羽の顔が赤く染まっている。
「ごめん、自分から言い出してなんだけど、この手のことは金曜にしよう。俺今余裕ないし、我慢していたこと口走りそうだから。もう少し経てば金曜日だから」
「いや、でも多分あたしがそんな余裕ない……」
朱羽の唇があたしの唇を奪った。
「ブルームーンから始めよう、陽菜」
「……っ」
その意味は……恋人に、ということ?
あたしと同じ想いと考えていいの?
「だから今夜は、……真似をしよう?」
「真似?」
「そう。恋人の」
朱羽が口にしたはっきりとした単語に、鼓動がとくとくと早まったのと同時に、また唇を奪われる。
好きだと自覚したキスは、さらに気持ちよくて、溺れそうになる。
ブルームーンで、朱羽に言おう。
感謝と感動だけに終わらない、胸に溢れるこの熱い想いを。
抱きしめあい、肌をまさぐりあいながら、舌を絡ませる。
たまらなく朱羽の熱を感じたい。
この熱を独り占めしたい。
好きだと――こんなに胸に溢れているのに、好きと言えないのは、辛いものだね。言いたくてたまらなくなるね。
好きの言葉の代わりに朱羽にくっついて、キスをして。
仮初めの恋人の真似として、あなたを好きでたまらない顔を見せて上げる。どうかこの想い……届きますよう。ブルームーンに繋がりますよう。

