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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 


「社長は、N県全域をご存知ですか?」

「私はホテルのために地図を見た程度だけれど……」


 あたしはひとつの地名を言った。


「実はあたしの実家がそこにあるんですけど、N県が様変わりしてしまって、どこにあるのかよくわからないんです」

 矢島社長は考え込んで言う。

「ちょっとわからないわね。合併や改名、区画整理でもされているのかしら」

「そうですか。だったらネットで調べてみます」

「お力になれなくてごめんなさいね。ではごゆっくり」 

 社長は立ち上がり出て行こうとしたが、ふと足を止めて踵を返すと、ビールを飲んでいたあたし達の横を擦り抜けて背後に回り、その場で屈んで……今まで開けたことのなかった突き当たりの襖を開けた。

 そこには――。


「言うのを忘れておりました。お布団のお支度は出来ていますので」


 隙間なく隣同士で並べられた布団が二組。

 しかもオレンジ色の常夜灯がやけに艶っぽい空気を漂わす。


「「……」」


 あたし達は言葉を失った。


「それと、ひと箱……置かせて頂きました。どうぞ思う存分。なくなったらお電話下さい」


「「ぶっ」」


 あたし達は同時に、吹き出した。

 そんなあたし達を見て、愉快そうにコロコロと笑う社長は、

「こちらの階の奥にある"久遠の湯"は行かれましたか?」

「いいえ」

 まだダメージが酷いらしい真っ赤な朱羽に代わり、あたしが首を横に振ると、社長は言った。

「午後十時に清掃が入り、綺麗なお湯になるのでよろしければいかがですか? 今日は嵐なので露天はしめてますが、想い人と永遠に結ばれると評判の湯なんですよ。おふたりで是非。綺麗な浴衣も用意しておきますので」

 朱羽が咳き込んでいる。

「だ、大丈夫ですか?」

「だ、大丈……げほっげほっ」

「そんな慌てられなくてもいいのに。おおっと、長居してしまいました。邪魔者は、退散……っと」

 袖を口元に置き、嬉しそうに社長は出て行く。

「十時にお風呂入って下さいね。その間にお膳をお片付けにきますので、どうかまだ始めないで下さいね」

「始めるって……げほっ、げほっ」

「課長!」

 
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