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いじっぱりなシークレットムーン
第3章 Full Moon
 

「ちょっ!? 効率悪いってなんですか、WEB部はそれで今まで……」

 あたしの声を無視して、香月課長はひょっとこのような顔で突っ立つ木島くんに言った。

「木島くん、あと5種類デザイン考えて下さい。追加テーマは"エコ系"、"サイエンス系"、"クリーン系"、"ショッピング系"、"文字だけのポータルサイト"。書いたものをすべてPDF化がまず一点。それとシステム課に動く画像のサンプル頼んでますので、それを組み込んだイメージで、全15種類のhtml、wordpress、CMS(ログインしてブラウザ上で書き込む方式)とPHPの4種の形でサンプルを書き出し、サーバーにアップして下さい」

「ふへぇ!? 俺そこまで手が回らないっす!」

 木島くんが飛び上がる。

「手の空いている人をみつけて、助手にして下さい。システム課を使ってでも。それを明日中」

「あ、明日中!?」

「課長! 打ち合わせはあさってなんです。このイメージ案を見せればいいだけなので、他の仕事を……」

「他の仕事は急ぎですか?」

「いいえ、来週中ですが……」

「ではこちらを優先して下さい。過去の仕事の記録を見せて貰いましたが、実に無駄がありすぎる。仕事が複数あるならなおさら、労力を分散し、最低限営業が全員鹿沼主任を連れずに仕事が出来ることを目指します」

「いや、だけどあたしは現場からの意見を……」

「現場がわかるのなら、あなたも木島くんのお手伝いを。まさかPHP程度のプログラムもわからないとか? CSS(レイアウトプログラム)を組み込んでとか出来ないとか?」

 レンズがキラーン。
 
「それくらいは出来ますけれど!」

「だったら今後のために頑張って下さい。顧客のため顧客のためと、無駄な時間を浪費してちんたらやらずに、仕事は効率よくさっさとやる。これが目標です」

 ばっさりと、斬られた。

 昨日入ったばかりの、仕事まだ三分の一しか教えていない、他社で新卒採用された年下上司に、あたしのプライドも、斬られた。


「営業には私が指示します。私はあなたのように、人を信用して待つばかりの、非効率にはさせませんので。木島くんの指示をお願いします」


 くらり。


「主任、大丈夫っすか!? 主任!」


 
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