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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

 男達は先に、浴槽に入ったようだ。

 朱羽が、あたしになにか語りかけたが、滝の音に消されてよく聞こえない。首を傾げたら、耳元に熱い息と共に優しい声が聞こえて、ぞくりとする。

「いなくなったら、すぐに出よう」

 あたしも朱羽の耳に唇を近づけて言う。
 
「今女の子達が入ってきたから、恥ずかしがってすぐお開きになるね」
 
 ……と思ったが、それは甘かった。

 滝の音でやりとりはわからないが、出会いを求めているらしい女ふたりと男ふたりが浴槽で出会い、やがてふた組の男女ペアになって……、がっちりと手を回して抱き合うようにして深いキスを始めたのだ。


「「………」」


 それだけではない。男が女の身体を触り、口をつけ……ついには本番突入の本格的なセックスを始めたのだ。

 さらに悪いことには、あたし達の近くに来て、見せつけるように。


「「………」」


 滝のところに来れば、声が隠れると思ったのだろうか。滝の声に負けじと女が気持ちよさそうな声を大きく上げ、それに煽られたように鼻にかかった甘い声が甲高く響き渡る。

 ひとつ目のペアは女が岩の上に仰向けに腰掛けて、俯せになった男が腰を大きく打ち付け、ふたつ目のペアは、岩に両手をつけて前屈み気味に立つ女を後背位から男が激しく腰を振っている。

「あっあっあっ、それいい、いいのっ、もっと突き刺してぇぇぇ!」

「こう? はあ……俺、イキそ」


「はぁぁんっ、奥まで届く、届いちゃうよぉぉぉっ」

「もっと尻だせよ、ほらいくぞぉぉぉ」


 ここは……、破廉恥の湯だろうか。

 あたし達も縁結びの効能があるらしい温泉で、最後までしていないだけで、その一歩手前くらいなだけのかなりのことをしたとは思うけれど、世には上がいるようだ。

 ここの滝の音はかなりの轟音だというのに、影にいるあたしの耳に、その破廉恥な四人の叫び声が聞こえてくる。


「ああああ、奥にコツコツしないでぇぇ、イク、イクぅぅぅ」

「いやぁぁぁぁんっ、子宮が破れちゃう、大きい、大きいよぅぅぅ」


 甲高い女の声がその場を支配する。

 あたしと朱羽は気まずくなり、お互いの顔を見れなかった。
 
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