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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

「本当にあなたってひとは……こっちの気もしらずに」

「駄目?」

「………。後ろ向いてくれたら、抱きしめてあげる」

 あたしは喜んで、自分の布団の上で朱羽に背中を見せた。

「はい、いいよ?」

「……はぁ、なんで俺にこんなに無防備に。きっと、俺ほど意識していないからだろうけど、だったらなおさら俺、大丈夫かな……」

 ぶちぶちとなにやら独り言が聞こえる。

「なにか言った?」

「なんでもない」

 ごそごそと音がして身体の上にかけられた布団の下、朱羽の身体に包まれたあたしの背中が熱くなる。

 あたしの頭の上に朱羽の呼吸が聞こえ、無性にドキドキが止まらない。

 ふわりと漂う朱羽の匂いに、気がへんになりそう。

 胸が苦しいけど幸せな気分になって、あたしは満足げに手を伸ばして電気を消した。

「おやすみ朱羽」

「……おやすみ」


 暗闇に響く低い艶やかな声に、心臓がバクバクする。

 
「………」

「………」


 静まり返っている。


 あたしのお腹に回された朱羽の手に、そっと指を絡ませてみる。

 朱羽の反応がないということは、寝ちゃったのかな。

 こんなに密着していて、寝れるのが凄いと思う。

 あたしなんて、ドキドキしすぎて体中の感度が上がっていると思う。指を絡ませただけでも、変な呼吸をしてしまったほどだから。

 寝れるわけない。

 好きなひとにこうやって抱かれているのなら。

 朱羽から快楽を与えられたあたしの身体は、甘く疼いてくる。いつでもなにかされたくて、ひたすらお預けを食らっているように渇望して待っている。

 
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