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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
朱羽を渇望するこの心は、朱羽に溺れているから?
それとも、満月の影響?
いつものように魅縛で止まらず、否が応でも惹きつけられてこれほどまでに求めてしまうのが、病的とまで思える冷静な自分がいる。
まるで、ふたりでこうしていられる時が、今しかないような切迫感――。
あたしが秘密を打ち明ける前の時のような性急さが、いまだあたしの中にあるのだ。それは不安となり、不安を隠すために、我武者羅に求めているような。
朱羽は満月のあたしを受け入れようとしてくれているんだ。
朱羽を信頼する心はあるのに、ブルームーンは朱羽と過ごしたいと堅く誓っているのに、それがいずれ簡単に覆されてしまうような……そんな不安感。
まるで許容出来ないほど大きな、嵐の到来を感じているような――。
だから余計、朱羽に安心させて貰いたいのかもしれない。
この謎の不安が、ただの不安で終われるよう、朱羽の確かな温もりであたしを傍で守って貰いたいのかもしれない。
だから、朱羽からして貰えないことが、こんなにもあたしを急く。
言葉を用いない朱羽の確かさを、どこに求めていいかわからなくて、余計に朱羽と触れあいたくて仕方がないのだ。
あたしに触れて。
あたしだけを見つめて。
狂うほど、あたしを求めて――。
あたしは唇を近づけていく。
朱羽はとろりとした目であたしを見つめたまま、抵抗しない。
両肘と両膝をついて馬乗りになり、乱れた呼吸を落としながら顔を傾け……そっと触れた瞬間、甘い痺れが身体に走り、思わず鼻にかかった声を出して、離してしまった。
キスなんて何回もしたのに、あたしからだって朱羽の唇を奪い舌を絡めたのに、それでも下から見つめられたままのキスというのに緊張して。
悩ましい顔の中のあの唇に触れるだけなのに、どうしてこんなに距離を遠く感じるのか。30cmもない距離だというのに。
涙目になりながら、顔を近づける。