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いじっぱりなシークレットムーン
第7章 Waning moon
 

「朱羽……っ、繋がりたいっ」

 もっともっと。互いが感じる深い愛が欲しい。

 あたしもあなたを受け入れるから、あなたもあたしに入ってきて欲しい。

 ねぇ、ひとつになりたい。

 溶け合って、もうふたつに分かれたくない。

「朱羽のを、挿れてっ、奥に来て。ブルームーンの前に、しよっ」

「……ごめんね、俺のだと思って」

 蜜壷に出入りする指は三本になる。

 盛り上がった筋肉を持つ上腕が、激しく動いている。

「あっああっ、朱羽が、ああっ、欲しい、のっ。ねぇ、指のところ、にっ、朱羽の、挿れてよっ」

 切なくてたまらない。

 挿れて欲しい。ひとつになって弾け飛びたいのに。

「ごめん」

 苦しそうな顔で、粒を舌で押し潰し、蜜壷を飛沫をあげて擦り上げてくる。

 狂ってしまいそうな官能の奔流。

 その鋭さが身体を切り裂いていきそうだ。


 身も心も引きちぎれていくような――。


 ちぎれたくない。

 もっともっと、深層まで繋がっていたいのに。
 

 ちらちらとなにかの映像が紙芝居のように脳裏に流れていく。

 だがわからない。

 それがどんな絵面で、どんな意味を持つのか。


 ただ無性に、繋がりたい。

 離したら、もう二度と手が届かないような気がして。


――いやああああああ!!


「ああんっ、ああっ、ああああっ、朱羽、繋がりたいっ」

 
 いつの間にか流れた涙。

 それをじっと見ながら、朱羽は責め立てる。


「ひとりじゃやだ、朱羽も、朱羽も、一緒にっ、離れないでっ!」


 結ぶ手もなく、キスを出来る唇もなく。

 あたしは下に敷いている朱羽の足に噛みついた。

 睦み合いをしたという証拠が、繋がりが欲しい。消えてなくならないものが欲しい。

「朱羽、朱羽――っ、あああ……イ、ク……っ」

 しばしびくんびくんと身体が大きく震える。

 あまりに焦らされていたせいか、痙攣が止まらない。

 朱羽はあたしの背中から足を抜いた。温もりがなくなったことに泣きたい心地になったあたしの横に寝て、痙攣が治まるまでずっと抱きしめてくれた。

「陽菜、ごめん」

 耳元に唇が寄せられる。

「本当は……俺もあなたのナカに入りたくて仕方がないよ。避妊具、全部使い切りたいくらい、あなたを抱きたいよ。だけど……ごめん。ごめん」
 
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