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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 

「え、だったら。このスマホは東京に出た時から使っていたもので、家族はあたしの番号を……知らないはず」

 あたしから家族に電話した記憶はないのだ。

 向こうから電話がなかったのは、連絡手段がなかったからではないか。

「あなたは、ずっとあのマンション?」

「ううん、違う。ムーンに入ってから会社の近くに引っ越した。二回目」

 あたしは、どちらの引っ越し先も家族に連絡していない。年賀状のやりとりすらしていないはずだ。

「住民票は東京に移してたの?」

「うん。N県に極力戻りたくないから。東京行ったら早々に。だけどどこに行ったんだろう、あたしの家族。お父さんとお母さんと、千紗は」

「千紗?」

 朱羽が怪訝な顔を向けてくる。

「うん、あたしの妹の千紗。美人で可愛くて……朱羽に使ったのは、妹の名前を。ごめん……」

「……そうか」

「どこに行ったんだろう。県外に出たのかな……」

「それともうひとついい? あなたは大学時代、すごくバイト三昧だったの?」

「ううん。たまにバイトしたことはあったけれど」

「親と交流がなくても、親の仕送りはあったの?」

「いや、仕送りはない」

「じゃあバイトしないで、どうやって大学の方と生活費出せた?」

「貯金が……あったから。あたし名義の通帳、親が渡してくれた。その金額でやりくりして。ムーンに勤めてからは給料から生活費差し引いて、残りを貯めてたから、今は通帳は元の金額以上に戻ってる。利子つけて返そうと思って」

 朱羽が酷く考え込む素振りを見せた時、三角屋根の隣家から住人が出てきて、花に水を撒きにホースを用意し始めた。

 若い女性だが、リュックのようにベルトを巻き付けて、赤ちゃんを背中に背負っている。

 知らない、こんなに若いお隣さんは。

 あたしの記憶では、よぼよぼのおじいちゃんが亡くなったばかりだったはず。きっとその後、あたしが東京に行っている間に入った住人だろう。

「すみません、ちょっといいですか?」

 朱羽がその女性に近づくと、女性は少し顔を赤らめながら背中の赤ん坊のおしりをぽんぽんと手で叩いて、身体を揺らしている。
 
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