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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 
「鹿沼、俺もお前はひとを殺せるような奴じゃないと警察に言った。小山内も事情徴収に来た警察に怒鳴ってたぞ。俺達教師が出来るのは、そうやって警察に訴え、推薦が取り消されないようにすることぐらいで」

 教頭はアルバムを開き、3-Bの頁を開く。

「お前が仲良かった女子の斎藤に工藤、お前が文化祭実行委員になった時に、お前が怒鳴って参加させた男子の中畑、山田。お前が高校二年で生徒会副会長をした時、同じ副会長だった3-Aの宮島、書記だった原田。生徒会の後輩も皆お前を信じて、無罪だって署名までとった」

 頁は捲られていく。

 思い出はない、ただの写真だけど。

「先生、あたし……ここの高校に思い出がなかったの」

 ぼたぼたと流れる涙は、感動に変わっている。

「嫌で嫌で仕方がなくて。辛くてあたしの黒歴史だと思ってた。このひとにあたしが記憶している高校時代を知られたくなくて、だけどあたし……忘れていたことを知らなかった事実を思い出したくて、今日話を聞くためだけにここに来たの。別に先生に会いたかったわけじゃなかったの」

「……そうか」

「だけど……、来てよかった。あたし……やっぱり写真を見ても思い出せないけど、あたしにその思い出がないのが悔しいけど……、だけどいいや。皆の中に居るあたしが愛されて幸せならそれでいいや」

 あたしは、思い出のない高校時代に関わった人々に救われていた。

 苦しい記憶の影で差し伸べられる優しい手は、確かにあったのだ。後ろ指さされたり、白い目で見られていたわけではない。

 あたしはひとりではなかったんだ。

「先生、ありがとう。初めてあたし……、この高校に在籍していてよかったと本気で思う。大学も行かせてくれて……ありがとう」

「いいんだよ。お前のクラスや学年に対する貢献度は凄かったな。お前俺より熱血バカだったから」

 すると朱羽がくくっと笑う。

「十年経っても、変わってませんね」

「すみませんね!」

「ふふ、仲がいいな。まあそんな感じでお前の保護に走った奴は多かったけれど、あいつらはお前を追い詰めていた」
 
「あいつら?」
 
 朱羽の訝しげな声に同調しながら、教頭の顔をじっと見た。

「……目撃証言したのは倉橋がつるんでいた仲間達だ」

 夢に出てきた、守の仲間だろう。千紗目当てであたしの家に、よく守と来ていたんだ。
 
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