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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 
 
「なんでその時、その場にいたのか誰も語ろうとしないが、彼らはこぞってお前が突き飛ばしたと証言した。それを警察は重視した。これは事故ではなく、殺人ではないかと。だから冗談じゃないと俺達は動いたんだが」

「その中に、結城……ではなく、熊谷さんも?」

 あたしの代わりに朱羽が尋ねると、教頭は頭をゆっくりと横に振った。

「……その場に居た熊谷だけは違う証言をした。お前が突き飛ばしたのではなく、あのふたりが勝手に道路に飛び出したのを、お前は止めようと手を出したのだと。笑っていたことにしても、人間、ひとが死ぬ瞬間に平然となんてしていられない、と。平然としていられるのなら、自分達がふたりを助けられたはずだと。お前を罪にするのなら、見ているしか出来なかった自分も罪にしろと。お前の嫌疑が晴れたのは、あいつがそう強く証言したのも、決して無関係じゃないぞ」

――……実は俺、お前に隠していることがあるんだ。

「彼が……助けてくれたの?」

 苦手だった、昔の結城が。

 親しくもなく、よく話したこともなかった結城が。

「正直、何事にも無関心のあいつがお前の庇護に回るのは意外だった。恐らく仲間の五人もそう思ってただろうな。逆ならまだわかるんだけどな」

――……だけど言えない。どうしても言えない。……お前が今、香月に満月のことが言えないように。

 だけど、あたしを助けてくれたのに、結城はなんでそれをあたしに言えないんだろう。

――告れないというか、その資格がないというか。


 ……ねぇ。

 このこと以外に、あたしは結城になにかされていたの?

 不意に夢の中の言葉を思い出す。


――――がさ、面白いゲームをしようって言うからさ。お前の家で遊ぶよ。


 それが本当のことかどうかはわからない。

 だけど昔の結城を覚えていたのだから、確実に絵空事の夢でもないはずだ。
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