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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon

~Eri Side~
雅さん。
孤独な檻を壊して、私を空の下に連れ出してくれたのは、あなたなの。
家のために好きでもない男と見合いをさせられた私を、あなたは助け出してくれた。
あの時、一緒に逃げてくれた。
私、知ってたよ。
私の育った家に、私がどうしているか、お父様とお母様に報告していたでしょう。そして説得してくれたのよね、私は道具ではないと。
――衣里。お前は喋るのが好きなんだな。
寡黙こそが婦女の嗜(たしな)みだと教育されて育った私は、あなたの前ではよく喋ってよく笑って。
それはあなたの前だから。
あなたがいなければ、私……生きている理由がない。
ねぇ、私を見てよ。
女として感じてよ。
陽菜にお願いして、ひとりだけで看病させて貰った時。
私、雅さんに告白したの。
好きだって。だからお嫁さんにして欲しいって。
だけど拒まれた。
笑って、誤魔化されて。
だから私、その場で服を脱いだ。
今まで一度だって私に触れてくれなかったのは、私が女ではないと……そう思っていたから、だったら触れて私が女だって確認してくれればいいと。
裸で、雅さんのベッドに入ったの。
雅さんの手をあたしの胸に触らせたの。
私の処女を貰って欲しいと、お願いしたの。
……そんなことを言うのは、生まれて初めてで。
だけど……雅さんは私に欲情してくれなかった。
悲しそうな顔をして私の頭を撫でるだけ。
私は、子供だと思われたまま。
悔しくて悲しくて、雅さんの病衣を剥いで。雅さんの上に跨がって、雅さんの身体に舌を這わせて、何度も好きだと愛しているんだと訴えた。
初めて見る男のものが恥ずかしかったけれど、ふにゃふにゃしているそれの側面を口に含んだ。やめさせられても、何度も何度も愛おしんだ。
……だけど、なにをしても、ぴくりとも変化がなかった。
あたしのやり方が悪いのだとやり直したけれど、それでも。
私は泣いた。
こんなに好きなのに、どうして彼から女として見られないんだろう。
陽菜が羨ましくてたまらない。
きっと陽菜なら、雅さんに愛されるだろう。

