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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 


 不自然に顔を合わさない、こんな関係は嫌だ。

 心の中では普通にしていようと思いながらも、実際は結城の顔が見れなかったあたしが悪いのはわかっている。

 あたしは結城に、他人用の営業モードすら出来なかった。

 怖いのだ。

 安心出来ていた結城の笑みが、実は優しさからきたものではないのではないか、そんな疑念が胸を過ぎってしまうから、結城の顔が見れなくて。

 安心しきっていた結城だからこそ、オセロのように一手ですべてを覆されそうなこの状況が怖い。

 だけど中途半端な記憶を正せるのは、結城しかいないんだ。

 怖い。

 怖いけれど、闘わなきゃ。

 過去と、満月と、あたしは闘って克服したい。



 リビングのような部屋では、杏奈にノート型パソコンを持たされたらしい木島くんが、朱羽の指示で仕事をしている。

 さらに朱羽は、社長代理のように動く結城への了解をとって、矢島社長への見積書も作成しているようだ。

 そりゃあそうだ。今は会社が大変な時で、会社で仕事をこなさねばならない時期。仕事を取るためにあたしと朱羽はN県に行ったのだ。

 しかも社長の危機。あたしは気を張って、常に戦闘態勢になってないといけない。きっと前のあたしならそうだった。

 ……わかってはいるけれど、朱羽の温もりが恋しい。

 朱羽の匂いに包まれて、大丈夫だと頭を撫でて貰いたかった。

 これからくる嵐が、大波が怖かった。


「……駄目! 弱い女になるな!!」


 恋をすると、途端に弱くなる。

 そんな女達を見てきたはずなのに、あたしもその部類なんて。

 仕事と私情を混ぜてはいけない。今は朱羽に向かっているこの気持ちを鎮めないといけないと、あたしは戒めのために両頬をパンと叩いた。


「鹿沼陽菜、戦え!」


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