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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 


「俺はな……、知っていたんだ。守も。千紗がよく父親とラブホに行っていたのを見ていたから」

 気むずかしかった父親。

 美容室を経営している母親といつも喧嘩していたのに、千紗が来たら柔和になった。

 千紗が来てくれたからだと、千紗が……。

「そ、そんな……」

 だけどあたしは覚えている。

 開いたドアの隙間から見えたのは、セーラー服を着たままの千紗が、お父さんのモノを口で咥え、守のモノを両足の間に埋め込ませて嬌声を上げていたことを。

「俺は、妹にも恋人にも裏切られたお前が、それでも永遠を信じられるのか。それを賭けにしたんだ」

「それが……ゲーム?」

「そうだ。俺が言い出したことなんだ、陽菜」

 結城の目から涙が零れた。

「倉橋は元々千紗に近づくためにお前に近づいた。倉橋はお前とふたりきりにはならなかったはずだ。お前の家でも千紗か俺達が必ずいた」

 確かに……そうだ。

 家に居ても、かならず千紗が中心で、あたしはジュースやお菓子を持って行ったり。守はあたしより千紗を大切にしていた。

 ……あたしは、あたしの妹だから可愛がってくれているのだと。

 そのうち、守でふたりきりでいるより、皆が一緒にいるのが普通だと思っていた。

 考えて見れば朱羽が言ってたように、複数の男子生徒がうちに出入りするのはおかしい事態なのに、あたしと千紗の恋人がいるのなら共通の友達が居ても不思議ではないと、そう思ってしまっていたのだ。
 
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