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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「倉橋はこのゲームを知らない。知っていたのは俺とその他の仲間。倉橋や千紗の傍で見届けられるように、それで千紗と付き合った。親父とのことを持ち出して脅して。ハナから愛情なんてなかった」
「千紗は……結城が好きだったの?」
「しらねぇ。親父に抱かれている女なんて気持ち悪かったから、抱きたいとも思わなかった。俺もまた千紗とふたりきりになったことがなかったから。拒絶したい気持ちは、態度に出てただろう。……だけど倉橋は違ったようだ。恋愛感情というより、身体目的だった。俺が付き合えば、さらに千紗と会う口実が出来たからと喜んでいたからな」
結城は赤い目で、あたしをじっと見た。
「あの日、俺は倉橋に囁いたんだ」
"今日は鹿沼は委員会で遅くなるらしい。鹿沼の家で千紗とふたりきりにしてやるよ"
「二時間。倉橋と千紗の理性が強く、お前のことを考えて、ふたりが身体の関係になっていなかったら、俺の負け。俺はそのまま帰る気だった。だけどもしふたりがお前を裏切り、身体の関係を持ったら……」
結城の声が掠れて止まる。
「持ったら?」
あたしの声も掠れた。
もうあたしは、その答えがわかっている。
「持ったら、あたしを……輪姦しようって?」
にやにやとしていた男達の顔。
「ああ」
結城の唇が震えた。
「さらに言えば……、俺は、お前の親父が居たことは知らなかった。恐らく倉橋は、鍵の開いていたお前の家に入って、千紗と親父がセックスしているところを見たんだろう。だけど……三人仲良くヤっていたところを見ると、それがわかられて招き入れられたんだろうな」
実の父と彼氏と妹と思っていた女達、三人の愛欲の宴には、元よりあたしは招かれておらず。
「それであたしは……?」
「廊下で覗いていた仲間達が、千紗のところに参戦しようとした。それでお前は止めた」
――駄目、千紗に手を出さないで!
「あんな妹をお前は守ろうとした。だが見せつけられている仲間達は、お前を押し倒し服を剥いだ。俺はそれを眺めながら言った。あの三人に助けを求めてみろと。あの三人はお前のことなんて知らずに楽しんでいる。お前が犠牲になる必要があるのかと」