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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「俺はさ、お前の信じる永遠というものを壊したくてたまらなかった。永遠を信じていなかったはずなのに、壊したいと望んだことは……、永遠のものがあるということを認めていたことにもなる。お前の信じた永遠を俺は壊したけれど、だけどお前の中に……それでも千紗を守ろうとする強いものがあった。それを見せつけられて俺は目覚めたんだ」
結城の目から涙がこぼれ落ちる。
「永遠はあるものではなく、自分が作り出すものだって。それをしようとしないで、ないものだとハナから決めかかっていた俺に、永遠なんてあるはずがない」
「……っ」
「香月に聞かれたんだ。俺がお前との関係を友達で甘んじていたのはなぜかと」
結城は泣きながら笑う。
「俺も作りたかったんだ。お前との永遠。俺が欲しいものをお前なら持って居る気がした。――高校の時から」
あたしの目からも涙がこぼれ落ちた。
「大学でお前の姿はいつも目に入れていた。だけど再会は偶然で、俺のことを思い切り忘れられていたことが悲しかった。だけど、違う俺なりに償いたいと思っていたら、お前の満月のことを知った。満月で苦しんでいたなんて、俺はそれまで知らなくて。お前を助けに行った時、俺は……あの時の千紗や、俺のせいでお前がされていたことを思い出して、あの時のことはまだ終わっていないということを知った。いくら催眠で忘れさせても、歪みが出ていた」
「結城……」
「俺が……忘れさせてやりたいと思ったよ。だけどその俺が元凶だ。だからどうしていいかわからない。でもお前が俺のもとで笑ってくれるのなら、あの時のことを思い出さないで、結城睦月という男を信じてくれるのなら、それがずっとつづく今の関係もいいと思った。恋愛感情もあるけれど、友情も確かにあるから。お前と俺は、永遠に一緒に居れると。居たいと」
「……っ」
「すべて俺が悪かったんだ。あいつらが事故ったのも。お前の親が自殺したのも。全部……俺が……」
頭を下げる結城にあたしは抱きついた。
「腹立たしいね、本当にむかつく」
「鹿沼……」
「だけど、結城の苦悩を知らなかったあたしがもっとむかつくわ」
結城の背に震える両手を巻き付かせた。