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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「何度言ってもあなたは信じてくれないんだね。俺は……傍に居るよ」
「だけどあたしは……」
「座って話そう。あなたが思い詰めそうな気がしたから、来てよかった。まずは座って、温かいミルクティーを飲んで。いいね?」
半ば諭されるような形で座ったあたしは、プルタブを開けた缶を渡された。コンビニの明かりが朱羽の眼鏡に反射して、レンズが光っていた。
コクリとミルクティーを飲むと、冷え切って乾ききっていた五臓六腑に、じんわりと温かさが広がって気がして、思わずため息のような長い息が出た。
「言いたいことを俺に吐きだしてごらん。俺は魔法使いじゃないから、あなたの過去を変えることは出来ないけど……」
隣に座った朱羽は長い足を組みながら、あたしの頭を手で撫でる。
「あなたの未来がねじ曲がらないようには出来る」
「………」
「言って。呑み込まないで」
「……この結果を、朱羽は予想してたの? あたしの……身体が穢されていたということに」
「穢れてないよ」
「でも!」
朱羽はあたしの手を握り、指を絡めて力強く握った。
「穢れてないと結城さんも思ったから、満月の夜にあなたを抱いていたんだろう?」
「……それは贖罪でっ」
「確かにそれもあるかもしれない。だけど結城さん、言ってただろう。千紗ちゃんは抱けなかったって。……ごめん、心配で最初から聞いちゃってたけど」
「言ってた、けどっ」
「結城さんを、俺を信じて。ね?」
「………」
「俺はあなたが家族についてまったく記憶がないこと、結城さんについても記憶がなかったこと、過去のあなたが大勢の男子生徒を家に上げていたことも、過去の結城さんがあなたにとって怖い存在だったことも忘れていたことから、結城さんはあなたに復讐のようなことをするために、千紗ちゃんと付き合っていたんじゃないかと想定していたよ」
「え……」
「あなたと妹の彼氏の共通の友達だから、だからあなたは気を許して家に招いていたと。それで事故の日、倉橋くんと千紗ちゃんが既に家に居たということもあなたは記憶がなかったことが、一番のネックだと思った。そこが満月のあなたが淫らになることに繋がることが繰り広げられていたのではないかと」
「………」