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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
コンビニで買っていたものを取り出し……、そして結城を起こした。
「結城。アルコールなしの飲み会、行こう?」
結城はぱっと開いた目を怖いほど真剣なものにして、あたしの手をぐっと掴んだ。その顔からは汗が吹き出している。
「陽菜、大丈夫だから!! 俺が守ってやる。今度こそ――!!」
夢か現(うつつ)か――。
……結城は出会った8年、いやその前から、夢でも現実でもあたしを心配してくれていたんだろう。こうやって、彼もトラウマになるほど。
「大丈夫、泣いてないよ。結城、ありがとう……」
。
結城に相対したいのは今、現在。
幾ら過去からの悪縁があっても、今のあたしがあるのは結城のおかげだ。
あたしの心が壊れないように守り続けてくれた結城を、あたしは到底嫌うことなど出来ない。
「守ってくれて本当にありがとう、結城……」
そう微笑むと、結城はなにを勘違いしたのかキスをしようとしてきた。
「なにをするんだ、こら!」
「え? していいと言われたんでは……」
「違います! 友達にはキスは必要ありません!」
「友達友達ってなにげに止め刺そうとするよな、お前」
「友達でもマナーは大事! ほら、行くよ。皆待ってるから」
あたしは結城の手を引いて身体を起こさせる。
「……俺に触れて、大丈夫なのか?」
結城の瞳が不安げに揺れている。キスをしようとしたのは、あたしの緊張を和らげるためだったのかもしれない。