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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「結城に触れないと友達出来ないでしょう? あたしは過去より今をとる。あたし、結城が大好きなんだから。言ったでしょう、結城が寝る前に。なにも変わらないよ?」
「……一度真実を知って居なくなったら、もうお前と終わる気がして、お前が俺からずっと逃げる気がして、俺は……」
不安になっていたというのだろうか。
過去の罪悪感ゆえに。
過去に囚われているのは、誰?
「結城。あたし強くなると決めたの。前を向いて歩きたい。だから結城も同じように、前を向いて行こうよ、過去じゃなくて。今までの通りわいわい騒いで、団結して。ね?」
「……っ」
「ほら! 悔やむならさっさと行く! また衣里に怒られるよ?」
「や、それは嫌だな。うん。……さんきゅ、な。鹿沼。……恨まれてもいいのに、俺と……友達をやろうとしてくれて。俺はもう決してお前を害する側には立たねぇから。死ぬまでお前を救う側にいる。お前を泣かせねぇから。それだけは誓う」
「結城……」
誓いという言葉にした結城の強い決意が感じられた。
「結城は……、満月の夜、あたしを抱いていて……気持ち悪いと思わなかったの? あたしだって千紗のように」
「思わなかった」
結城は即答だった。
「お前は綺麗だ。なにも卑屈になることはねぇから。穢れているなんて、俺は今まで一度も思ったことはねぇし、それは香月も同じだろう」
――だけど結城さん、言ってただろう。千紗ちゃんは抱けなかったって。
「ふふ、同じ事言うね、朱羽と結城」
「俺後出しかよ。シークレットムーンの課長ふたりがそう言っているのだから、お前はなにも考えるな。いいな?」
「うん」
「贖罪以上に……お前が好きだから。だからお前に一大事があれば、俺が駆けつけたい。そのスタンスは変わらねぇから」
「ありがとう。あたしも結城の一大事にはどこにいても駆けつける。結城の味方になる。いつも通りに」
「……これからもよろしくな」
「こちらこそ」
差し出された大きな手を強く握る。
真の意味で、偽りない裸の付き合いが始まったのだと思った。
「本当に……、俺、女のお前も友達のお前もすげぇ好きなんだわ。俺の勝手で、ずっとお前に片想いしてるから。あいつに疲れたらいつでも来い」
泣いているような潤んだ目を、結城は僅かに細めた。