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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「そうだ。しかもシークレットムーンは傘下である限り、社長の決定は忍月が行うことになる。月代さんは元忍月の人間だし、実績とカリスマ性があるから、厳しい面接などはしなくてすんだ」
社長、どれほど凄いひとだったんですか。
「だが、そんな月代さんに並ぶだけの社長でなければ、上も納得しないだろう。副社長一派は難癖つけて却下するはずだ」
「それは、どういう決定なんですか? 多数決?」
「ああ、最終的には多数決になる。俺と副社長一派との勢力は、わずかに俺の方が弱いのが現状だ」
あたしは言った。
「だったら専務は、多数決で勝てる人数を確保して下さい」
「カバ? 策があるのか?」
「策があるというより、打開策はそれしか考えられない。すみません、ちょっと席外します。すぐ戻りますので」
あたしは立ち上がり、衣里と結城を連れて来た。
そしてふたりが聞こえるようにはっきりと、専務に言った。
「勝率は半々です。……結城を社長に」
「カバ!?」
「鹿沼、なんだよ一体!」
「そうよ、なんでこの筋肉馬鹿が社長に!? 大体社長は生きているのに」
あたしは三人を見渡して言った。
気づけば朱羽も木島くんも帰ってきて、沙紀さんも近くで見つめている。
「社長の意志でもあります。社長は自分になにかあった時と言いましたが、もうひとつの社長である会社の危機なんです。ここは結城を社長に」
「ちょっと、待て、鹿沼!!」
「結城だってカリスマ性があるわ。それは社員全員わかっている。社長もね。社長はハナから結城を社長にする気でムーンを作ったの」
結城は呆然としたような顔をした。
「嘘だろ……」
「嘘じゃない。あたしは言われているの、実行するのは時機のだけの問題だった。だけど社長が不在で会社がぐらつくのなら、それなら結城を社長に据えて、結城に頑張って貰いたい」
パチパチ。
賛同したというように拍手をしたのは木島くんだった。
「俺、結城さんが社長は賛成っす! でも月代社長は会長という形で、その上にずっといて貰いたいっす!」
パチパチ。
次に拍手をしたのは、朱羽だった。
「次期社長は結城さんしかいない。結城さんが社長なら皆もついていく。俺もついていきたい」
「香月……」
結城の瞳が揺れる。