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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「それだったら、技術系にも強いお前が……」
「いいえ。俺はまだ日が浅いし、カリスマ性でいけば結城さん、あなたが一番だ。あなたに社長の資質がないとは、俺は思わない」
まっすぐな瞳に、結城は口を噤んだ。
専務が笑って言った。
「このことを朱羽に話したら、カバのように真っ先に朱羽も結城、お前が社長をやるのがいいと提案してきたぞ」
「香月、お前……」
なんだか嬉しい。
朱羽もちゃんと会社を見ていてくれた。結城を見ていてくれた。
一緒に同じところに走って行ける――。
パチパチ。
拍手したのは沙紀さんだ。
「いいんじゃないの、結城くんで。結城くんなら、月代部長……じゃない社長の意志を継いでくれると思うし。それに社長は存命なんだから、今から色々聞いておけば?」
「ちょっと待てよ、本当に俺が社長なんて務まるはずが……。なあ、真下。お前からも言ってやれよ。俺がそんなこと出来るはずが……」
衣里は言った。
「いいんじゃない?」
「は?」
「あんたしかいないんじゃない?」
「お前、ひとに流されてないで、いつもの毒舌は」
「人聞き悪いこと言わないでよ。私が会社潰したいわけないじゃない。私も今真剣に考えて、その結果よ。結城なら社長、私認めて上げれるわ」
「真下!」
「ムーン時代の酸いも甘いもあんたなら経験してる。会社のために夜中も走り回っていた根性、今でも営業必ずとってくる手腕も知ってる。初対面でも打ち解けれるし、それが天賦のものだとしたら……私は月代社長の目がおかしいとは思わない。シークレットムーンを立て直すことも、大きくすることも出来ると思う」