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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「み、見てたの!?」
「そりゃあ。結城さんにもっていかれたら困るだろう?」
「いや、それはないわ」
「その割には、結城さんの許可があったのに納得していない顔をしていたけど」
「そ、それは……」
「もしかして反対されたら、俺とブルームーンは過ごさないとか、そういうつもりだったんじゃ……」
「そんなわけないでしょう!!」
誰もいないのを確認して、朱羽に抱きついた。
「意地悪言わないでよ」
久しぶりの朱羽の匂いと体温。
そう思っても、1日だけだ。
「……ふうん? じゃあ俺が相手でいいんだね?」
甘く囁くような声が耳に届いて、ぞくぞくする。
「うん」
「だったらお願いしてみせてよ。結城さんも言ってただろう?」
「……っ」
「お願いされないと、俺結城さんに……」
「……明日、ブルームーン……朱羽と一緒に居たい」
あたしは真剣な顔を上に向けて言った。
「あたし、変になるかもしれないけど……見捨てないで? 激しく抱いて?」
朱羽の顔が仄かに赤くなっている。
「……あなたはなんで……ったくもう! 見捨てるわけないだろう!?」
朱羽はあたしをぎゅうぎゅうに抱きしめながら言った。
朱羽の匂いにくらくらする。
「明日、ここの近くにある帝王ホテルに予約入れてる。本当はスイートにしたかったけど、それは社長が落ち着いたらにしよう。その下のランクのにしたけど」
「ひっ、帝王ホテルってセレブ御用達ホテルじゃない」
「うん、場所的に行きやすいかなと思ったんだけど、嫌だったら……」
「いや、嫌じゃないけど、嫌じゃないけど、あたしセレブじゃ」
「はは。そんなの関係ないよ、俺だってセレブじゃないし」
「嘘だ~。あのマンションとあの車で」
「ああ、あれは……オプションみたいなものだから、別に……」
自嘲気に笑いながら、朱羽が言う。
オプションってなに、オプションって。
「嫌じゃなかったら、そこでいい?」
ああ、前もってホテル決めて抱いて貰うこと前提。今更だけどやる気満々なのが無性に恥ずかしくなってきた。
だけど、朱羽と一緒に居たい。
あたしが初めて自分の意志で、過ごしたいと思った好きなひとだから。