この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 

「別に、なにも。それより渉さん、その手を離して下さい。なんなんですか」

 すると専務がひぃひぃ腹を抱えて笑い出した。

「ああそうだものな、朱羽はそうだよな。カバがどんなカバだろうと、カバでありさえすればいいものな。そんなことより、俺が触っている方が嫌だものな。お前なんで俺にはそうで、結城は許してるんだよ、ぶはっはっは」

 黒色のウェーブがかかった髪先が、専務の笑いに揺れる。

 また朱羽のスマホが鳴った。

「すみません、またちょっと失礼します」

 そりゃあそうだ。忙しいよ、今は。あたしなんてのほほんとしちゃっているけれど、本来あたしがしないといけないことだったのでは?

「なあ、ぱんぱん顔のカバ」

「黙って下さい。もうわかりましたから。あたしはぶちゃいくですし」

 両頬を両手で覆い、目だけで威嚇する。

「いや、お前可愛くなったんじゃね?」

「なにも出ませんから!」

「朱羽を名前で呼ぶようになったのは、どんな心境の変化だ、ん?」

 どっきりした。

 何回か専務の前で、朱羽を名前で呼んでいたことを思い出した。

「お前、朱羽のことが好きなのか?」

 揶揄ではなく、真剣な目がこちらを向いている。

 これは逃してくれそうもない目だ。

 だけどまあ、専務ならいいか。最中に呼び出してしまったし、朱羽の家族みたいなひとだし。

 あたしは諦観したようにひと呼吸してから、頬から手を外して深く頷いて、専務を見た。

「はい、好きです。まだ本人には伝えてませんけど」

 自分でも驚くほどの、落ち着いた声だった。

「人間としてじゃねぇぞ。恋愛の意味で」

「はい。どちらの意味でも、好きです」

「朱羽とセックスしたいという意味だぞ?」

「はい、朱羽とセ……なに言わせるんですか!」

 言ったら顔が真っ赤になった。そんなあたしを見て専務はまた大笑い。

「ぶはっはっは! 赤カバ、なんだよその赤カバ!」

 専務はあたしの頭を手で抱えるようにして、あたしの髪をぐしゃぐしゃにしてきた。
 
/1291ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ