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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
「朱羽くん、誕生日が大嫌いなんだって。渉が言うには、朱羽くんは苦労しているんだって、色々と」
「………」
「だけど今年は、陽菜ちゃんが居てくれるのなら、朱羽くんとっても喜ぶと思うんだよ。だって朱羽くん、今朝からうきうきしてたじゃない」
「う、うきうき?」
「うん。月代部長が目覚めたのもあるだろうけれど、それ以上にうきうき。だから渉と、これは陽菜ちゃんと誕生日を過ごせるようになったんじゃないかって言ってた。いつもは憂鬱そうにしていたくらいだから」
「そ、そう」
あたしにはうきうきなど思わなかった。
朱羽に関してはまだまだらしい。
「忍月の時は、女の子達が朱羽くんの誕生日にすごいプレゼント用意してて、朱羽くんが冷たくあしらっても家にまで押しかけてきたみたいで」
朱羽の家に行った時、コンシェルジュが朱羽の家に通さなかったのは、この件も関係あるのかもしれない。
「だけど嬉しいなあ。渉が今夜陽菜ちゃんと朱羽くんふたりを家に帰るようにしたのも、渉なりの願いでもあったのよ。まあ、渉からの朱羽くんのプレゼントみたいなものね」
「……っ」
「いい夜を。朱羽くんをよろしくね。朱羽くんを笑顔にさせてあげて」
「……うん!」
どこまでできるかわからないけれど、朱羽がそんなに楽しみにしていてくれたのであるのなら、あたしはそれに応えたい。
好きだよと告げたら、朱羽はどんな顔をするだろう。
朱羽の誕生日だから言いたい。
あたしからの愛の告白を。生まれて初めて口にする言葉を。
「よし、次は美容クリーム塗るよ。ふふ、ぷるっぷるの小顔になったよ。さらに綺麗になろうね」
今できる、一番の綺麗な姿で。