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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 

「………」

 朱羽は驚いたような顔で、鏡の中のあたしを見つめている。

「……身体辛い?」

「いつもよりは全然いい。なんでなのかわからないけど」

「……あなたが過去を受け入れようとしているからかもしれないね。おかしかったらちゃんと俺に言ってね。あなたの体調あっての今夜だから」

「ありがとう」

「じゃあ待ってるから。温まってきて」

「ん」

 朱羽が身体を屈めるようにしてあたしの唇にキスをした。

 朱羽の首筋に両手を回すと、朱羽は自然と開いたあたしの唇の中に舌を忍ばせ、あたしの舌に数度ぬるりと絡ませてきたが、すぐ唇を離す。

 とろりとした目があたしをじっと見ていて、その扇情的な眼差しに我慢出来なくなって、あたしからキスをする。

 お互いに甘い声を漏らす朱羽とのキスは、あたしを欲情させていく。

 身体が熱い。もう凍えないから、朱羽の熱で溶かして貰いたい。

 角度を変えて何度もキスをする。

 止めどなく続きそうなキスを辞めたのは、朱羽だった。

「はぁ、駄目だ。あなたとのキスは気持ちよくてとまらなくなるから、もうやめなきゃ。……後でたくさんしよ?」

 吐息まじりの甘い声。レンズ越しはっきりと濡れた茶色い瞳が優しく細められると、「ごめん、やっぱりもう一回だけ」と切なそうに口にし、片手であたしの顎を上に上げて、長いキスをした。

 離れていく朱羽の目がとろりとしていたが、あたしだってそうだろう。

「これでここは退散するから」

 あたしを熱く濡らす朱羽のキス。

 技巧的というより、官能の細胞を朱羽の唇と舌で刺激されているような感じなのだ。優しいけれど有無を言わせないほど力強くて。

「――くっ、また洗う羽目になった!」


 ……そして感度があがっているあたしは、朱羽とのキスだけで、過去最高に下着を濡らしたのだった。

 せっかくお気に入りの、ピンクと黒のふりふりの紐のショーツを履いてきたのに!!
 
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