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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 

「俺本当に世間知らずの子供だったから、そういう行為で俺を必死に求めてくれるあなたを勘違いして、あなたも俺のことを好きなんだと思ってしまった。両想いになったのだと。それであなたに大丈夫だと言われて、俺達は身体が先だったけれど、恋愛でも結ばれて、身も心も恋人になったんだと浮かれてたんだ」

 美しく妖艶だった、15歳の朱羽。

 あの時初めて会った成人男性だと勝手に思い込んで、最初から一夜限りと割り切り、朱羽が中学生だとわかって逃げた。

「目が覚めたら、お金が置いてあるだけであなたがいない。それで俺は初めて、あなたにとってはもう二度と会う気はない、遊びだったんだと理解した。中学生でもさすがにね」

「ご、ごめん……」

 朱羽はあたしの頬を優しく手で撫でた。

「俺、あなたに捨てられたと思って、凄く泣いた。全力であなたを愛した俺にとって、ヤリ捨てというのはとてもキツすぎて現実を認めたくなかった」

「……っ」

 罪悪感に言葉が出てこない。

「このままあなたとの縁が切れたくない、繋がりたいと思うあまり……あの後、あの髪の色でバルガーに行ったけれど、その日からあなたを見なかった。あのコンビニしか俺はあなたのことがわからない。あまりにしつこく俺が行くから店長が困って、あなたの大学名と、チサというのはバイトに居ないとだけ教えてくれたんだ。あなたの本当の名前もどこに住んでいるかも教えてくれなかった」

「………」

「……制服を着たまま、大学にも行った。行って思い知らされた。中学生の俺とは世界が違ったから。そう思ったら、あなたを好きであなたを抱いた現実がとっても汚く儚く思えた。俺が抱いたあなたは、あなたが名乗ったチサでもなかった。俺を信じて認めてくれる存在は元からいなかったのだと」

「ごめん、本当にごめん」

 言葉とは裏腹に、朱羽は優しく微笑んでいた。

「その頃家の関係でもストレスがたまって、心臓も悪くしたり、少し荒んだ時期もあったけれど、ある時アメリカで、あなたの大学のHPにあなたが映った画像を見た」

 あたし、HPに載っていたんだ。

 ……ねぇ、傷ついてもあたしの大学をネットで見ていてくれたの?
 
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