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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
心が奮え、手が小刻みに震撼する。
丸めたその手を上からぎゅっと朱羽は握った。
「陽菜」
こんなにドキドキして身体が熱いのに、朱羽の目から視線を外せない。
「あなたとの年の差が三歳に縮まったこの日に、俺は言いたかった。俺はあなたの年に追いついたり追い越したりすることは出来ないけれど、この先同じ年数を過ごして行くことは出来る」
握ったままの手を持ち上げ、丸めたままのあたしの指に口づける。
「あなたが好きだ、陽菜」
僅かに震えたその声は、いつも余裕であたしを振り回していた彼とは違い、どこかあたしに請うような切迫感があって。
「俺の恋人になって欲しい。俺の横で笑っていて欲しい」
「あたし……朱羽を傷つけたよ?」
ぽろぽろと落ちる涙が止まらない。
「それでもあなたがいい」
「あたし、身も心も綺麗じゃないよ?」
「綺麗だよ、俺が保証するから」
涙を指で拭ってくれる朱羽の微笑みは、とても美しくて。
体中から、"好き"が溢れる。
「あたし、いじっぱりだよ?」
「はは……。お互い様だ」
「あたし……」
「次はなに? いいよ、言ってご覧」
「あたし、朱羽が好きなの」
朱羽の指が、あたしの頬の上で止まる。
「年下とか子供とかじゃなく、男として朱羽が好き。好きでたまらない」
驚いた美麗な顔がある。
「好きなの。好きだから、触れて貰いたいの。好きだから……あたし、ブルームーンを朱羽と過ごしたい、の……っ」
その顔が苦しげに歪んだ。
伝われ。
朱羽の気持ちがあたしの心を奮わせたように、あたしの気持ちも朱羽の心に届け。
「好き……っ」
「陽、菜……」
朱羽がぎゅっとあたしを抱きしめてくる。苦しいほどに。
「本当に? 本当に?」
あたしの背中に回った朱羽の手が震えていた。