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いじっぱりなシークレットムーン
第8章 Blue Moon
 


「俺、勘違いじゃなくて本気にするよ? あなたを俺の恋人だって、渉さんや沙紀さんにも言うよ? それでもいいの?」

「うん!」

「結城さんや真下さんにも言えるの?」

「もうふたりは、あたしが朱羽のことを好きだってわかってる。宮坂専務も、沙紀さんも……」

「……なんだよ、俺だけか、知らないの」

 拗ねる朱羽が可愛くて。

「知っていたと思うよ、朱羽は。あたし朱羽には気持ちを隠さなかったから。好きで好きでたまらないという顔をしていたはずだから」

「……ふふ、そうだね。ああ……陽菜」

「ん?」

「――俺、凄く幸せで泣きそうなんだけど。こういうの夢に見てはいたけれど、だけど本当にきたら……本気に泣きそう」

 朱羽の涙混じりの声が愛おしくてたまらない。

「あたしもう泣いてるよ?」

「はは」

「ふふふ」

 笑い合うのも、幸せで。

「……今夜はあたし朱羽にそれを言いたかったの。朱羽がどう想ってくれているんだろうとかが考えられないほど、あたしが朱羽が好きだから、聞いて貰おうと。……初めてなの、男のひとに自分の気持ちを告白するのって。告白だけじゃないね、こんなに男のひとを好きになったことも。……あたしのハジメテを、朱羽にあげる」

「そんなこと言われたら、俺幸せで倒れるよ」

「倒れちゃ駄目。だって最後まで抱いてくれるんでしょう?」

「っ!! あなたはなんで、そんなこと……っ」

「好きだよ、朱羽。本当に好きなの、切なくなるくらい」

「俺の方が好きだよ」

「あたしの方が好き」

 そして同時にあたし達は笑った。


「――俺の方が、愛してる」


 身体がカッと熱くなった時、がさがさと音がして、首筋が対照的にひんやりとした。
 
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