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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
「ごめんね、臭いだろ? 俺、汗だらけだから」
そう苦笑してくるから、あたしは下から朱羽の首筋にくんくんと鼻を鳴らして嗅ぎ、玉状に膨れた彼の汗を舌で舐めとりながら、言う。
「……朱羽の匂いに汗が混ざると、すごくえっちな気分になる。あんなにしても、まだ朱羽に愛されたくなる」
「はは……。俺のお姫様は貪欲だね、どうしてやろうか」
朱羽が笑いながら、あたしの髪の毛をくしゃくしゃにしてくる。
「きゃあああ!!」
こうしたじゃれ合いすら愛おしくて、きゃっきゃと笑い合う。
やがて朱羽が起き上がりベッドから立つ。
官能的な気怠るさを顔に浮かべ、朱羽はすらりとした長身の裸体をあたしに見せながら、両手をあたしの身体の下に差し込み、そのまま持ち上げた。
「なに!?」
「お風呂。一緒に入ろう? あなたと離れてたくないんだ」
そう捨てられた子犬のように寂しげな顔で、だけど色香をぶわりと撒き散らして言われると、あたしは顔を赤らめてこくりと頷くことしかできない。
そのまま浴室へと赴き、あたしが入った湯がそのままになっている浴槽にあたしごとどぷんと入った。
浴槽は六角形のプールのような形をしていて、ドアの正面にあたるところは硝子窓になっている。スポットライトのような照明が絶妙な位置にあり、湯をきらきら反射させ、同時に硝子窓からの景色を浮かび上がらせた。
最初に入った時は背にして気づかなかったが、夜景と星空、そして満月があり、その綺麗さに感嘆の声をあげてしまった。
朱羽は窓がよく見えるように、膝の上にあたしを後ろ向きに跨がらせて、両脇に両手を差し込んだ朱羽の手は、あたしのお腹の前で組まれている。
「満月、大丈夫?」
甘い朱羽の声と湯の温かさに、くらくらしそうだ。