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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
 

 表参道――。

 青山通りとの交差地点あたりから原宿にほど近い明治神宮前を繋ぐこの地域は、銀座と並んでOLが好む高級ブティック店が並ぶお洒落な地域として、よく雑誌で紹介されていたが、あまり行ったことがない。

 ここに来たのは、美味しいケーキ店があることを朱羽が、スマホで調べて見つけたからで、それはよく耳にしたことがあるお店だったが、今まで場所まではわからなかった。

 街路樹が植えられた大通り沿いに、センスがいい外見のお店がずらりと並ぶ。空気が気持ちいいからか、すごく散歩が気持ちいい。

 地下に潜っていたせいか、身体が温かくなり、朱羽と共にコートを腕に掛けて、手を繋いで歩いた。

 ひとが振り返る。

 朱羽が行ったような熱愛中の恋人同士として皆の目に映るといいなあなど考えながら歩いたら、白い煉瓦造りの可愛いお店が目に入る。

 女性ものの服と雑貨が置いてあるらしい。

 朱羽と共に中に入ると、床が軋んだ音をたてた。

 中には家具店か喫茶店かと思われるほどテーブルと椅子が置いてある。様々な形をしたそれらはすべてお店のひとのセレクト家具らしい。

 そのテーブルに飾られているのは、レザー小物らしい。

 バッグや財布を始めとして、カラフルなものが揃っていて可愛い。

 どうしてこういうお店は、センスがいいんだろう。セレクトセンスは、店を構えるだけありそうだ。

 やはり職業柄か、スマホやタブレットケースを見てしまう。

 結構量販店などにいいものはないのだ。高い割にはださくて。だけどよく使うから仕方がなく、その中から選んでいる感じで。

「……」

 その中で、黒に近い焦げ茶でありながら明るめのワイン色がむらになって染まっているのと、黒に近い紺でありながら明るめの青色がむらになっている、スマホケースが目にとまった。

 ポケット式でもチャック式でも手帳のような形でもなく、単純にスマホの裏側だけを覆う形だ。

 あたしが見ているのは画面を覆ってはいないけれど、職業柄、スマホでチェックしたり結構頻繁に使うものだから、すぐ画面が見れた方がいい。
 
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