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いじっぱりなシークレットムーン
第9章 Lovely Moon
朱羽は奥の洋服を見て離れている。
あたしがじっと見ていたら店員さんがやってきた。
「これは一点物で、使えば使うほどこちらは赤み、こちらは青みが出てきます」
にこやかなおじさんだ。
「名前、サービスで入れて差し上げますよ?」
その一声で、あたしは朱羽に誕生日プレゼントをこれにしようと決めた。だって格好いいもん。朱羽がいなかったら、あたしが買いたい。
あまり青が混ざった皮は見たことなくて、青の方にした。
「すみません、あのひとに内緒で買いたいんで。プレゼント用で」
こっそり、おじさんに入れて貰うローマ字を紙に書き、お金をちょっきり渡し、おじさんも静かに奥に消える。
その間にあたしは隠すようにして朱羽のもとに行く。
朱羽の手には、淡いピンク色やらオレンジ色やらの服を棚に取り出していた。
意外に朱羽は、あたしに関しては迷うらしいが、出してきたのはお嬢様風のものが多い。そうか、朱羽はこういうのが好みなのか。
「暖色系がよさそうな気がするんだけれど、どれが一番いいか決められない。あなたはどれがいい?」
白黒ばかり選んで着てきた女は、パステルカラーが眩しい。
朱羽はあたしの身体に服をあてて、真剣だ。
「ここのデザイン俺好きだから、ここで買いたいな。ピンクが顔にあって綺麗だよね。だけどこれもいいから、うーん、全部買っちゃおうか?」
「ひとつでいい」
だけど鏡で合わせて見ると、似合うのか似合わないのかよくわからない。服は可愛いけれど、あたしに合うのかはまた微妙なところで、朱羽も結論が出せなかったようだ。
その時おじさんが戻って来て、こちらに来た。
こっそりと渡された包みをバッグの中に入れた。
朱羽から色々相談を受けたおじさんは、大きく頷き、朱羽が取り出したものを一瞥すると、それではなく奥の棚に行きワンピースを持ってくる。
それは少しベージュ味かかったサーモンピンク。
あたしも朱羽もぴくっとそれを見た。