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いじっぱりなシークレットムーン
第3章 Full Moon
「……鹿沼主任、どうしました?」
不意に離された手に、あたしは顔を上げて叫ぶ。
「駄目駄目、もっとあたしを――」
途中、理性が最後の悲鳴を上げた。あたしは本当に寸前で、続きを言うのを踏みとどまり、涙混じりに声を上げた。
「結城――っ!!」
あたしを助けて!!
「ここにいる!!」
怒声のような焦ったような結城の声が聞こえると同時に、あたしは結城に片手で、結城の胸に押しつけられた。これで、欲情した顔は誰にも見られない。
「社長、すみません。こいつ具合悪そうなんで、連れて帰ります」
「あ、ああ。鹿沼、明日無理しないでいいぞ? って聞こえてないか」
「俺が言っておきます。真下、鹿沼の代わりの幹事、頼めるか!?」
「いいけど、私が陽菜を……」
「いらね、俺が連れる。じゃあすみません、残り三十分あるんで楽しんで下さい。……鹿沼大丈夫か、歩けるか?」
興奮しすぎて身体が汗ばんで疼く身体は、足元をふらつかせて力を奪う。
苦しくて苦しくてたまらない。
「もう少し、我慢してくれ。大丈夫、俺がいるから」
そんな声が聞こえて頭を撫でられ、そんな刺激でもぞくぞくして感じてしまうあたしは、小さく喘ぎながら結城のシャツをぎゅっと掴んだ。
その手に、結城の大きな手が被さり、大丈夫だというように手の甲を指の腹で撫でられ、その軽い刺激にあたしはふるふると身震いした。
それを課長が、凄惨な表情で見ていたことも知らず――。
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居酒屋からほど近いホテルの一室――。
カーテンのなされていない窓から、夜景と満月の光が薄暗い光を灯していた。
あたしを抱えるようにしてドアを開け、中に押し入った結城。
電気をつけないままの暗い壁にあたしを押しつけ、乱暴に唇を奪いながら、上着を脱いでネクタイを外した。