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いじっぱりなシークレットムーン
第10章 Funky Moon
「他にもあったよね。監視役だとか、黒服だとか、女嫌いのイケメンとか」
一、現在後継者争いが勃発し、彼らがそれまで勤務していた会社ごと、忍月本社のあるビルに招集され、各社には本社からの監視役が派遣されているらしい。
一、後継者候補の兄弟達はすべてイケメンらしいが、女嫌いらしい。
一、もしその後継者候補が誰かわかっても、口外した瞬間、忍月お抱えの黒服に拉致されて、東京湾に沈められるらしい。
「監視役のOKがないと後継者として認められないとは言われているけど、監視役が誰か、単数なのか複数なのかもわからない」
「シークレットムーンに監視役してる社員なんていないと思うけど……」
「うん。渉さんも忍月コーポレーションで誰が監視役かわからないみたいだから、もしかしてそうやって品行方正にと脅しているだけなのかもしれない」
「黒服は?」
「情報漏洩を防ぐための脅しだろう。なんで知ったからと言って東京湾に沈められるんだよ。だったらあなたも、いや……沙紀さんがもう既に沈められてるよ。だけどまあ、彼女は強いけど」
沙紀さんも知っているのか。
「朱羽の兄弟は皆イケメンで女嫌いなの? まあ、宮坂専務はいい男だとは思うけど」
「イケメンかどうかは知らないけど、俺はあなた以外の女は嫌いだし、渉さんだって女を嫌っているからずっと道具にしてた。他の兄は知らない」
「朱羽は見てるの? 宮坂専務以外のお兄さん」
「昔一度、現当主との顔合わせがあって、そこで俺は初めて渉さんと、他ふたりの兄に会った。それっきり、そのふたりには会っていない。いるはずだけれど、興味ないから視界に入ってこない……」
妾の子。
そういえば朱羽から両親のことについて聞いたことがなかった。兄弟がいるとは思わず、勝手に一人っ子だと思っていた。
だけど実際、宮坂専務が朱羽のお兄さん……。
そしてふたりは、あたしの手の届かない遥か上にいる、日本屈指の財閥の後継者の人達……。
忍月朱羽――。
くらりとした。